2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 2012年5月 | トップページ | 2012年8月 »

2012年6月

2012年6月16日 (土)

棋譜並べについて Vol.4 ~ 棋譜の表と裏 -理論編2- ~

 読者の皆さん、お疲れ様です。いつもご愛読ありがとうございますm(_ _)m

多忙な身ではありますが、こうやって自分の好きな将棋について思索を巡らせることは、とても良い息抜きになります。内容はいたって真面目ですが^^;


 さて、前回は「開始日時」についてお話ししましたが、今回はその続きを書くことにします。

その前にもう一度開始日時についておさらいしておきましょう。

「開始日時」とは対局が行われた時間ですが、時間には幅があります。つまり、何時何分に対局が始まったと点で考えるのでなく、その一局を巡る時間軸として線で考えるべきと言えます。

これについては、時間軸の幅の広さによって次の3つの見方があるとお話しました。

  ①対局当日のスケジュールと調子(小さいスパンで見る)
  ②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)
  ③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)

前回お話したのは①と②について。これは「対局者個人の意気込み・調子」に焦点を当てた見方です。


 では、今回は③「将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)」について考えてまいりましょう。


 ①、②は対局者の頭の中を考える意味での見方でしたが、③ではあまり対局者の頭の中については深く考えません。

全く対局者のことを考えないのではなくて、「その対局者はどんな人だったか」という評判、言い換えると言葉は良くないかもしれませんが、その人の「レッテル」に目を向けるのが大事になってきます。


 たとえば、皆さんは大山康晴先生をご存知でしょうか?本格的に将棋をやっている人でこの人の名前を知らない方はほぼ皆無でしょう。

では、大山先生はどんな方だったでしょうか?と聞かれて、答えがすぐにパッと頭に浮かびますか。

具体的な事項としては、どんな戦法が得意だったか、どんな棋風だったか、どんな性格だったか、将棋界や戦法にどんな影響を与えたか?

将棋とは人が指すもので、個性があります。棋譜を並べる前に、そういった個性を把握しておくと、「あ、この手はこの人らしい」とか「普段使わない戦法を使っているのは何故か?」とか考えることができます。それには意味が隠されているのです。

大山先生の得意戦法は四間飛車や中飛車、といった角道を止めるノーマルな振り飛車党。相手も振り飛車党だと、相振りは避けて自分は居飛車にして位を取って手厚く指す棋風。そして、特筆すべきは受けの力でした。

大山先生には色々なエピソードがありますが、一つに勝負事に辛い人であったということがあります。それは盤上だけでなく、盤外での人間関係などの政治力にも長けていた方でした。棋書だけでなく、人生訓を書いた本も出されています。

 これはあくまで僕自身の大山先生の見方であって、全てではありません。

しかし、自分なりに棋譜の対局者の特徴を知っておかないと、棋譜の面白みや個性を指し手の感じることができません。

では、その人について知らないまま棋譜を並べるのは無意味かというとそうではなく、こういった対局者の棋風については、その人の指した将棋を何局も並べていると見えてきたりします。

今は棋書に書いてあることだけでなく、ネットで情報を探せば、その人がどんな人だったのか色々な逸話が得られるでしょう。

たとえばwikipediaでは、大山先生はこのように紹介されています。ご参考までに。
→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E5%BA%B7%E6%99%B4


 大山先生以外にもプロ棋士は大勢います。

皆さんは何人くらい名前を言えますか?たとえば羽生善治先生を知らない方はいないでしょう。

そしてその人たちはどんな人ですか?得意戦法は?棋風は?性格は?癖は?などなど。

現役のプロなら、その人たちについて情報を得るのはたやすいでしょう。今は現役ではない人や既に亡くなった人だと、なかなか情報は得にくいでしょう。


 どこまで対局者の知識を得るべきかについては、個人の自由だと思います。

自分の場合は、
 ①棋風
 ②よく用いていた戦法
 ③その人の新手、構想が流行を変えた戦法
 ④将棋に関するエピソード
 ⑤将棋以外でのエピソード
について知識を持つようにしています。

④、⑤についてあまり必要ないと思う方もいるかもしれません。はっきり言って雑学に近いので。でも、指し手の裏を考える上ではあれば役立つ知識だと思います。


 このように対局者についての知識を得るのがまず一点です。今日はここまでにしておきましょう。

次回は「戦法について知識を得ること」についてお話ししようと思います。

2012年6月 1日 (金)

棋譜並べについて Vol.3 ~ 棋譜の表と裏 -理論編2- ~

 久々の更新となりました。読者の皆様、大変お待たせして申し訳ありません(-_-;)

今まで長文の記事が多かったので、納得のいくものを書き上げるまでにかなりの時間を要しました。

本業の方も多忙なので、これからは記事を区切りよく分けてお届けしていこうと思います。


 さて、では前回のおさらいから参りましょう。前回は棋譜に含まれる情報として以下のようなものがあるろと述べました。

開始日時:  ← いつ対局が行われたか
棋戦:      ← 対局がどのような場で行われたか
戦型:      ← どんな戦法を使ったか。定跡で名前が付いているものは、それを記す。
持ち時間:   ← 持ち時間は全部でどれくらいだったか。短いか長いかで、対局者の読める量や時間配分が変わる。
消費時間:  ← 持ち時間をどれくらい使ったか。あまり使わなかったということは、形勢に差があって分かりやすかったのだろう。
場所:      ← 対局が行われた場所。
手合割:    ← そのまま。平手、駒落ちなど。
先手:、後手: ← 先手、後手の対局者名・棋力などが書かれる。
コメント(注釈):←自分の読みや観戦記などを記録しておける。

 前回は、消費時間について考察しました。では、消費時間からどのようなことが読み取れるか、まとめてみましょう。

「消費時間が短い」

→「定跡手順である」
 →いわゆる「決まった」手なので、改めて考える必要がないわけです。プロ同士ではどんどん手を進めて行っても、アマには分からない手もあります。それは事前に持っている情報量の差といえるでしょう。

→「前からの読み筋だった」
 →一見思い通りの進行で良さそうにですが、読み筋と思って手拍子で悪手を指している可能性もあります。
 

→「相手に考える時間を与えない」
 →早指しなどで用いられる、いわゆる「時間攻め」です。しかし、プロ同士の対局ではあまりありません。プロは持ち時間を一杯まで使って、お互いの読みの深さで勝負することが多いです。

 →対局中に短気を起こして指したとも考えられます。こういう時は悪手の可能性が大いにあります。


「消時間が長い」

→「読み筋でなく長考した」
 →対局者が意表を突かれた瞬間です。定跡を外れた瞬間であったりもします。

→「自分の読みを確認していた」
 →これは、相手の手が自分の思惑通りだった時に、慎重を期して時間を使うという意味です。すなわち、その手の周辺が対局者にとって勝負所であると言えるでしょう。

 →他には、事前に研究していた内容を反芻している可能性もあります。

→「詰みを探していた」
 →最終盤で難解な局面の時、勝ちの順を探しています。形勢が傾いて優勢な時です。

→「その他」
 →「トイレに行っていた」:対局とは関係ないことに時間を使っていた場合です。
 →「将棋とは関係ないことを考えていた」:プロ棋士では全ての持ち時間を読みにあてているのではなく、「今日の晩飯は何かな」などと案外無駄なことを考えていたりします。

 以上で一通りの可能性を網羅してみましたが、他にもまだあるかもしれません。
その辺は読者の皆さんの裁量にお任せしましょう。


  では、今回は「開始日時」について考えてみましょう。

「開始日時」とは対局が行われた時間ですが、時間には幅があります。つまり、その一局を巡る時間軸と考えるべきです。

これについては、時間軸の幅の広さによって3つの見方があります。

  ①対局当日のスケジュールと調子(小さいスパンで見る)
  ②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)
  ③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)


 まず「①対局当日のスケジュール(小さいスパンで見る)」について。

たとえば、オンライン対局場である将棋倶楽部24(http:/www.shogidojo.com/)には、名前の通り1日24時間を通して、色々な棋力の方が対局されています。

しかし、個人それぞれにライフサイクルがあり、将棋を指せる時間と指せない時間があります。

では、そういった場で昼に将棋を指している人はどんな人なのか考えてみて下さい。

昼間は大抵のサラリーマンなら会社で勤務中だろうし、学生なら学校で授業中です(もちろん例外もあります)。なので、夜勤明けの人だったり、平日休みの人が余暇で指しているはずです。

夜はやはり人が多く、19~24時までは東京道場は満員で、サイトに登録していない人はなかなか入場できないのが現状です。

つまり、棋譜の指された時間からその人のライフサイクルが思い浮かべられるわけです。


 そして、人には調子の良し悪しがあります。それは一日の中でも波があります。

たとえば、夜遅くに指された将棋などは、対局者はその前に何局も指していて疲れていたり、惰性で指したりしているものです。

その日に負けが込んでいたらどうでしょうか?

自分の得意戦法で負けが込んでいたら、詳しくはないけどある程度形を知っている戦法を指して気分転換したりするでしょう。

あるいは調子よく勝っていても、人には飽きや勝ち逃げしたい思いがあるので、その日は得意戦法を封印する可能性もあります。

 このように対局者の頭の中を考えるだけで、戦法を採用する対局者の意図が読み取れたり、戦法の完成度や対局者の戦法に対する習熟度が読み取れるわけです。


  では次に「②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)」について考えてみましょう。

将棋を生業とするプロの世界では、対局をする日にちは決まっています。日本将棋連盟から事前に通達が来て、対局者・日時・場所を指定されて、その通りに将棋を指すわけです。

もちろん勝ちを目指すわけだから、その対局に向けて準備をします。自分の得意戦法の研究したり、新手の成否を研究会で試したり、対戦相手の棋風・得意な戦法・最近よく用いている戦法を調べたりと、1つの棋譜の水面下に様々な努力があります。

 では、たとえば対局のスケジュールが一杯に詰まっていて、短期間に何局もこなさないといけない状況にあったらどうでしょう?あるいは理事や普及などの仕事が忙しくて、将棋の研究の時間を十分に取れていなかったとしたら?

それだけで対局前に知識において優劣が付いているでしょう。すなわち盤外での優劣です。

現代は情報化社会でPCを使ってすぐに情報のやり取りができます。戦法の研究結果や将来性が、場所を問わずにすごい速さで伝達されていきます。

その速度について行くだけでも大変です。それを集めて自分で新しい結果を出すとしたら、大いに時間のかかる作業になります。これが情報の格差につながってきます。


 そして、対局者各位がその一局にかける意気込みによっても研究の深さが変わってくるでしょう。

プロといってもやはり人間なので、全ての対局に全力を傾けるのはなかなか難しい。だから、気合いの入れ方に強弱を付けることは十分ありうるでしょう。

早指し棋戦で指す一局と、順位戦の昇降級をかけた一局とは重みが全然違います。1つのタイトル戦においても何局目でどんな成績であるかによっても変わってきます。

 もちろん、我々一介のアマが、プロの細かなスケジュールや頭の中の全てを知るわけにはいきませんが、その対局が行われた背景を考えてみると棋譜に深みが出てくると言えるでしょう。


 以上のように、今回は「消費時間」について一局を巡る時間軸と、それに対する対局者の背景について考えてきました。

「③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)」は①、②とは少し違った見方であるといえます。

詳細は長くなりますので、次回お話しすることにしましょう。

« 2012年5月 | トップページ | 2012年8月 »