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« 棋譜並べについて Vol.1 ~棋譜並べの意味とは~ | トップページ | 神の一手を求めて »

2012年4月26日 (木)

棋譜並べについて Vol.2 ~ 棋譜の表と裏 -理論編1- ~

前回は「棋譜並べに目的意識を持て」ということをお話ししました。そのことについて少しおさらいします。


 棋譜とは記録であり、それを見れば駒の動きが盤上で再現できます。

他の分野で言うと、料理でいうレシピ、音楽でいう楽譜と似ていますが、レシピや楽譜では全く同じようには再現できない。書いている通りやってみても、どうしても個人の咀嚼が入ってしまい、作者と全く同じになることがありません。「塩こしょう少々」なんて、完全に個人のフィーリングでしょう?そのように個人のバイアスが入るのが、芸術が芸術たる所以なのです。

ところが棋譜は、「2六歩」と書いてあれば、老若男女、国籍、社会的立場関係なく誰であっても2六のマス目に歩を置かなければいけません。いつ誰がやっても同じ一局を並べられるのです。科学の言葉で言うと「再現性がある」わけです。

 でも棋譜を並べても、そこから得るものは人それぞれ違うわけですね。

例えばビジネスの世界で言うと、営業の人が何か商品を売ろうとしている、それを新しい取引先に紹介するためにパンフレットを持たされますよね。そのパンフレットは会社が出しているもので、営業の人には皆同じものが配られるわけです。しかし、業績にはおのずと差が出る。この理由の一つに、営業のパンフレットの利用の仕方が違うわけです。ただ、読み上げるだけで契約が取れるなら、誰も苦労しないわけです。できる人にはできる人のやり方があるはず。

棋譜もパンフレットと同じです。うまい使いこなし方を考えていくべきなのです。


 さて前置きが長くなりましたが、本題にある通り「棋譜の表と裏」についてお話ししてまいりましょう。

一口に「表と裏」といってもいろんな解釈があります。中には怪しく聞こえる方もいらっしゃるかもしれません。社会で言うと「ホンネとタテマエ」みたいなニュアンスですね。

でも、僕が考える「表と裏」はそんな怪しいものではありません。


 ではまず、棋譜の「表」とは何か。

棋譜は将棋の指し手を記録するものだから、「▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩」と書いただけで、この文は棋譜の役割を果たします。つまり、指し手だけ書かれていれば最低限いいわけです。


 でも、棋譜の中には指し手以外の情報もあります。

どんな情報が記載されるか、僕が使っているPCソフトから書き出した棋譜(一部)を以下に掲載してみましょう。

# ----  Kifu for Windows V7 V7.02 棋譜ファイル  ----
開始日時:2012/04/02 19:43:19
棋戦:自由対局室(早指2)
戦型:▲右玉・糸谷流vs△5筋位取り中飛車穴熊
持ち時間:1分+30秒
消費時間:▲4分22秒△4分47秒
場所:将棋倶楽部24
手合割:平手  
先手:テディ
後手:将棋倶楽部24 三段
手数----指手---------消費時間--
*コメントはここに書かれる。
   1 7六歩(77)   ( 0:05/00:00:05)
   2 3四歩(33)   ( 0:02/00:00:02)
   3 2六歩(27)   ( 0:02/00:00:07)
   4 5四歩(53)   ( 0:04/00:00:06)
*ゴキゲン中飛車の出だし。
   5 6六歩(67)   ( 0:03/00:00:10)


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これは柿木将棋のkif形式による棋譜の表記の一部です。
インターネットではこのkif形式が一番流通しているでしょう。他にはcsa形式などもありますが、僕はこのkif形式を自分の棋譜の記録によく用いています。
 ※csa形式はコンピュータ将棋のプログラミングを行っている人にとっては都合が良いものだそうです。詳しくは分かりませんが・・。

ご存知でない方も、見れば何となく何が書かれているか分ると思います。

「手数----指手---------消費時間--」以下に、「指し手」と「消費時間(その一手を指すのに何分かけたか)」が書かれています。


 消費時間からは、対局者が一手に考えた時間が分かります。消費時間が短いなら、その意味としてはたとえば、「前からの読み筋だった」とか「相手に考える時間を与えない」などの対局者の意図が読み取れます。逆に長いなら、「読み筋でなく長考した」とか「詰みを探していた」とか「自分の読みを確認していた」などの意味があるでしょうか。「トイレに行っていた」という意味もありそうです(笑)

 このように記録(数字や文字)から、その対局者の意図を読み取ろうとするのが、僕の言いたい棋譜の「裏」を読むことの一つであります。つまり指し手だけ、駒の動きだけ追えるだけじゃないんですね、棋譜って。


 その他には以下のような情報がありますね。それぞれ意味をまとめてみましょう。

開始日時:  ← いつ対局が行われたか
棋戦:      ← 対局がどのような場で行われたか
戦型:      ← どんな戦法を使ったか。定跡で名前が付いているものは、それを記す。
持ち時間:   ← 持ち時間は全部でどれくらいだったか。短いか長いかで、対局者の読める量や時間配分が変わる。
消費時間:  ← 持ち時間をどれくらい使ったか。あまり使わなかったということは、形勢に差があって分かりやすかったのだろう。
場所:      ← 対局が行われた場所。
手合割:    ← そのまま。平手、駒落ちなど。
先手:、後手: ← 先手、後手の対局者名・棋力などが書かれる。

 他には棋譜にコメントをつけることもできますね。
kif形式では、指し手の下に「*ゴキゲン中飛車の出だし。」などのように書かれます。新聞や雑誌には観戦記とか対局者のコメントが載ってますよね。そこに対局者の様子だったり、互いの読み筋などを付け加えておけるわけです。

こういったコメントがあるのとないのとでは大違いですよね。本譜に出てこなかった手順をいちいち自分で考え直さなくてもいいし、第三者である対局者の頭の中も垣間見られるわけですから。


 今までお話してきたように、棋譜の「表」とは記録に残っている文字や数字の羅列で、そういった記録だけからでは分からないことが棋譜の「裏」なのです。言い換えれば「表」とはデジタルな情報で、「裏」とはアナログな情報です(少し難しいでしょうか・・)。

 しかし、今回述べたことだけが「裏」ではないとは一言付け加えておきましょう。棋譜を並べているときや、観戦している際にそういった裏を読めるようになれれば、それは上達の証と言って間違いないでしょう。


 今回は「消費時間」から裏を読む例を少し考えてみました。
次回は他の要素、「対局者」「開始日時」などから裏を読む例をお話しましょう。

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テディ流将棋講座」カテゴリの記事

コメント

テディさん、こんばんは 受け得です。

ご存知のように私は、レート350前後の低級者です。
私は私なりに強くなりたいと思っておりまして、いろいろ将棋の勉強を試行錯誤しています。
去る4月17日(火)の例会において、第一感を鍛える方法として、
『棋譜並べについてのテディさんの持論』をお聞きしました。

ⅰ)詰将棋
ⅱ)実戦(対局)
ⅲ)棋譜並べ(今は高速棋譜並べ)
この3つを柱として将棋に接しています。
ⅲ)棋譜並べについてなのですが、
あるHPに高速で棋譜を並べる勧めがあり、一局をすばやく3回続けて並べることをしています。
しかし、果たしてこれで成果が得られるのかという疑問を抱きながら・・
また、先日、高段者の方とお話しする機会がありました。
その方がちょうど対局終了後に来てくれたのですが、
私のその負け将棋の棋譜を見てくれてこんな話をしてくれたのです。
「あなたは、○○手目、この1手に9秒かけていますが、これは読み筋ですか?」
今まで消費時間など気にしたことがなかったので少し驚きました。
つまり、おっしゃるように棋譜から裏の情報を得ることができるのですね。
今私は、棋譜並べをどう勉強していったらいいか悩んでいるので、テディさんのブログは興味津々です。
Vol.3も期待しています。
注目している者がいるのをお知られしたくて書き込みさせていただきました。

受け得さん、丁寧なコメントありがとうございます。

なかなか多忙なうえ、乱文にならないように自分の考えをまとめるのは難しく、更新が遅くて申し訳ありませんsad

有段者が当然と思っていることを掘り下げてお伝えするのが、自分の講座のテーマの一つなので、参考にして頂いているとおっしゃってもらって嬉しい限りですhappy01

これからも情報発信の方に力入れてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

テディさん、おはようございます
半時間以内のご返信に感動です。
級位者から見て”目から鱗”の発見を期待しています。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

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