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2012年9月11日 (火)

【立ち読み録】 すぐ勝てる!先手中飛車



すぐ勝てる!先手中飛車 (マイナビ将棋BOOKS)
 著:佐々木 慎

(対象レベル) 初級者向け~中級者向け

(お勧め度) 2 / 5

(書評)

新シリーズの「すぐ勝てる!~」の第一弾だそうです。

出版社であるマイナビブックス社が謳うには、

「すぐ勝てるシリーズは、
1、主導権が握りやすい!!
2、攻撃力、破壊力抜群!!
3、すぐ覚えて、すぐ使える!!
がコンセプト。1冊読めば得意戦法が1つ増える最強のシリーズです。」

とのこと。

しかし、定跡が進歩し多様化した現代で、一冊読んですぐに使える定跡書となると、A5判のサイズならば2,3冊分、イメージで言うと電話帳くらいの厚さが必要かと思います。もちろん本書は「簡潔で」「使える」即効性の定跡書というコンセプトに沿っているで、全ての形を網羅できていないのは仕方のないことかもしれませんでした。

本書で取り上げられる形を見ると、新しくプロの実戦で現れた形を取り入れつつ、アマもよく指す形も解説しようとしているので、やや手順が洗練されていない、また解説の内容が薄いという感が否めませんでした。内容としては、先手の角道を止めない中飛車を解説してあり、入門書と定跡書の中間、基本定跡と先端定跡のハザマという感じです。

(内容抜粋)

すぐ勝てるポイントのまとめ

1.6六銀・7七桂型は理想型

2.居飛車持久戦なら一筋位取り穴熊

3.飛車先保留には木村美濃が有力

4.相振り三間には銀冠で対抗

(その他のサイトのレビューのまとめ)

●内容紹介
http://shogikisho.blog54.fc2.com/blog-entry-2079.html

http://siteki2nd.exblog.jp/16782713/

●Amazonのレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4839944016/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

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2012年9月 7日 (金)

【立ち読み録】 『将棋世界2012年10月号』



 9月3日発売の今月号の将棋世界です。

昔は将棋雑誌と言えば『近代将棋』や『将棋フォーラム』などもあったのに、今出版されているのは将棋世界のみですね・・・weep


 今月号は藤井猛九段の角交換振り飛車が大々的に取り上げられていました。

結果は実りませんでしたが、戦法の歴史に大きな足跡を残したことは間違いないでしょう。以下にその棋譜を掲載しておきます。

2012年8月1日~8月2日 第53期王位戦七番勝負 第3局
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/53/oui201208010101.html

2012年8月8日~8月9日 第53期王位戦七番勝負 第4局
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/53/oui201208080101.html

 思えば藤井九段といえば、1998年に 谷川浩司 現九段から竜王位を奪取したときの原動力となった戦法、いわゆる藤井システムを開発し、四間飛車・将棋界の歴史に今も燦然と輝いています。
 ガジガジ流と呼ばれる独特の攻め筋が有名ですが、何よりその緻密な序盤戦略がすごい。それは四間飛車だけでなく、藤井矢倉と呼ばれる矢倉早囲いのシステム、そして最近メジャーに採用しているのがこの角交換振り飛車です。
 かつて振り飛車は定跡ではなく力で指すものとされていましたが、その定跡の体系化に大きく貢献したのが藤井九段です。今我々は四間飛車を学び、プロと同じように指すことができますが、それも藤井九段のようなプロが未開の道路を舗装してくれたおかげということを忘れてはいけませんshine


 また、最近はゴキゲン中飛車がまた息を吹き返しているとの情報も得ました。一時は超速▲3七銀戦法で絶滅かとすら思われましたが、こちらも未だ進化を続けているようですdash


 付録の小冊子は、引退された櫛田六段が「四間飛車△4四銀型での居飛車穴熊対策」をまとまえられていて、振り飛車党の私には非常に参考になるものでしたflair


 皆さん、是非本屋でご覧になって下さい。

2012年9月 6日 (木)

【立ち読み録】 はじめに

このカテゴリでは、私が本屋などで書籍を立ち読みしたレビューと、それにまつわる話を書いていこうと思いますbook

他のサイトのレビューなどもまとめていけたらと思っています。

2012年9月 3日 (月)

棋譜並べについて Vol.5 ~ 棋譜の表と裏 -理論編2- ~

 読者の皆さん、お疲れ様です。長らくの更新停止 申し訳ありませんでした。

未だ多忙な身に変わりはありませんが、マイペースに更新の方して参りますので、今後もお付き合い下さいm(_ _)m


 さて、では前回の続きとして「戦法の知識を得ること」についてお話します。

皆さんは日々、色々な戦法いわゆる定跡を勉強されていると思いますが、定跡は日進月歩の勢いで進化しています。

皆さんが定跡を勉強する際は、市販の書籍を読んで勉強されることが多いと思います。書籍にはその著者が研究して結論をまとめた定跡手順が掲載されていて、皆さんはその手順を覚えるのが勉強と思われている方も多いでしょう。しかしそれは、その戦法について一通りの知識を持ったレベルの人が、最先端の結論を知ることで採用する形を選ぶための情報収集です。

現代の定跡はあまりにも進歩しすぎていて、入門したての方が一冊の定跡書を読んでみても、その戦法の全てを知ることは到底困難で、氷山の先端しか知りうることはできません。

皆さんはあまりに進化しすぎた定跡という大木の分枝ばかりに囚われて、幹となる部分をおろそかにしてはいませんか?「研究」という名のもとにマニアックな手順の結論を出すことばかりに終始していませんか?

自分の得意な戦法の細かい変化とその結論をいくつも覚えることは重要でないとは言いませんが、細かい変化ほど実戦に応用しづらく、また忘れやすいものです。そういった研究による知識の差が勝敗に直結するのは、プロレベルの話です。本当に覚えるべきは幹の部分、すなわち本筋なのです。その本筋の数を多く・太くしていく、また一度忘れても自力で生やすことができる力が重要なのです。


 戦法の幹となる思想を知るには、時系列で定跡の進化を追う必要があります。

では、過去から現在までの定跡書を山のように集める必要があるかと言えば、そうではありません。時系列の順に、その戦型が現れるプロの棋譜を並べていけば良いのです。もちろん、水面下に潜む変化まで考えつくすのは困難ですので、大まかな外枠をつかむことが重要です。できれば、そういった解説の付いた棋譜を並べるのが良いでしょう。

プロの棋譜は、指された当時の定跡の最先端であることが多いため、プロの棋譜に出てくる手順を追えば、定跡がどのように変わったかの勉強にもなります。棋譜同士で共通の手順・陣形が見られるならば、それは「当時の常識・流行」であったことが分かります。


 逆を言えば、戦法の歴史の知識があれば、「開始日時」から当時どのような戦法が流行っていて、どのような手順・形が当時の常識であったかという知識のもとに棋譜を並べることが出来ます。それにより、その一局の意義、つまりその一局を境にどのように結論が変化して、公式戦での採用率が変わったかなど、その対局周辺のつながりを知ることが出来ます。

それにより、ただ棋譜の手順を暗記するのでない、正しい手順や形を発見する大きな流れをつかむことができます。戦法の変遷の背景にある思想が、自分の研究に役立てることが出来るようになります。


 今回の講義はここまでとします。曖昧な話ばかりになってしまったので、次回は具体的に戦法を取り上げ、その変遷を追ってみることにしましょう。

2012年8月29日 (水)

復活の狼煙

皆さん、お久しぶりです。多忙のため、しばらく将棋の活動を休止しておりました。

これからまた徐々に活動を増やしていくつもりでいます。

久しぶりにオンラインで指した将棋を一局紹介します。

チェスの世界ではcorrespondence chess(郵便チェス)をオンラインで行うサイトがあります。つまり、web上のチェス盤に、対局者同士が好きな時に一手ずつ交互に指していくシステムで、自分の都合に合わせて指すことができたり、考える時間をたくさん取れるのが利点です。

将棋ではボード将棋というらしいです。本局はそのボード将棋で指した一局です。



本局は後手が藤井システムの出だしの四間飛車から、先手が棒銀に出ました。

序盤18手目の△6四歩がやや緩手だったようで、速攻に出られて苦戦に陥りました。後手は△5四歩が間に合わないので棒銀の攻めを食らうことになりました。△6四歩に変えて△4三銀が正しい序盤だったようです。

久々に指すとこういう細かい序盤のミスに気付かないものなんですよね。しばらくはリハビリ期間でしょうね(;´∀`)

読者の皆様にはご迷惑をおかけしましたが、今後とも当ブログをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

2012年6月16日 (土)

棋譜並べについて Vol.4 ~ 棋譜の表と裏 -理論編2- ~

 読者の皆さん、お疲れ様です。いつもご愛読ありがとうございますm(_ _)m

多忙な身ではありますが、こうやって自分の好きな将棋について思索を巡らせることは、とても良い息抜きになります。内容はいたって真面目ですが^^;


 さて、前回は「開始日時」についてお話ししましたが、今回はその続きを書くことにします。

その前にもう一度開始日時についておさらいしておきましょう。

「開始日時」とは対局が行われた時間ですが、時間には幅があります。つまり、何時何分に対局が始まったと点で考えるのでなく、その一局を巡る時間軸として線で考えるべきと言えます。

これについては、時間軸の幅の広さによって次の3つの見方があるとお話しました。

  ①対局当日のスケジュールと調子(小さいスパンで見る)
  ②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)
  ③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)

前回お話したのは①と②について。これは「対局者個人の意気込み・調子」に焦点を当てた見方です。


 では、今回は③「将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)」について考えてまいりましょう。


 ①、②は対局者の頭の中を考える意味での見方でしたが、③ではあまり対局者の頭の中については深く考えません。

全く対局者のことを考えないのではなくて、「その対局者はどんな人だったか」という評判、言い換えると言葉は良くないかもしれませんが、その人の「レッテル」に目を向けるのが大事になってきます。


 たとえば、皆さんは大山康晴先生をご存知でしょうか?本格的に将棋をやっている人でこの人の名前を知らない方はほぼ皆無でしょう。

では、大山先生はどんな方だったでしょうか?と聞かれて、答えがすぐにパッと頭に浮かびますか。

具体的な事項としては、どんな戦法が得意だったか、どんな棋風だったか、どんな性格だったか、将棋界や戦法にどんな影響を与えたか?

将棋とは人が指すもので、個性があります。棋譜を並べる前に、そういった個性を把握しておくと、「あ、この手はこの人らしい」とか「普段使わない戦法を使っているのは何故か?」とか考えることができます。それには意味が隠されているのです。

大山先生の得意戦法は四間飛車や中飛車、といった角道を止めるノーマルな振り飛車党。相手も振り飛車党だと、相振りは避けて自分は居飛車にして位を取って手厚く指す棋風。そして、特筆すべきは受けの力でした。

大山先生には色々なエピソードがありますが、一つに勝負事に辛い人であったということがあります。それは盤上だけでなく、盤外での人間関係などの政治力にも長けていた方でした。棋書だけでなく、人生訓を書いた本も出されています。

 これはあくまで僕自身の大山先生の見方であって、全てではありません。

しかし、自分なりに棋譜の対局者の特徴を知っておかないと、棋譜の面白みや個性を指し手の感じることができません。

では、その人について知らないまま棋譜を並べるのは無意味かというとそうではなく、こういった対局者の棋風については、その人の指した将棋を何局も並べていると見えてきたりします。

今は棋書に書いてあることだけでなく、ネットで情報を探せば、その人がどんな人だったのか色々な逸話が得られるでしょう。

たとえばwikipediaでは、大山先生はこのように紹介されています。ご参考までに。
→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E5%BA%B7%E6%99%B4


 大山先生以外にもプロ棋士は大勢います。

皆さんは何人くらい名前を言えますか?たとえば羽生善治先生を知らない方はいないでしょう。

そしてその人たちはどんな人ですか?得意戦法は?棋風は?性格は?癖は?などなど。

現役のプロなら、その人たちについて情報を得るのはたやすいでしょう。今は現役ではない人や既に亡くなった人だと、なかなか情報は得にくいでしょう。


 どこまで対局者の知識を得るべきかについては、個人の自由だと思います。

自分の場合は、
 ①棋風
 ②よく用いていた戦法
 ③その人の新手、構想が流行を変えた戦法
 ④将棋に関するエピソード
 ⑤将棋以外でのエピソード
について知識を持つようにしています。

④、⑤についてあまり必要ないと思う方もいるかもしれません。はっきり言って雑学に近いので。でも、指し手の裏を考える上ではあれば役立つ知識だと思います。


 このように対局者についての知識を得るのがまず一点です。今日はここまでにしておきましょう。

次回は「戦法について知識を得ること」についてお話ししようと思います。

2012年6月 1日 (金)

棋譜並べについて Vol.3 ~ 棋譜の表と裏 -理論編2- ~

 久々の更新となりました。読者の皆様、大変お待たせして申し訳ありません(-_-;)

今まで長文の記事が多かったので、納得のいくものを書き上げるまでにかなりの時間を要しました。

本業の方も多忙なので、これからは記事を区切りよく分けてお届けしていこうと思います。


 さて、では前回のおさらいから参りましょう。前回は棋譜に含まれる情報として以下のようなものがあるろと述べました。

開始日時:  ← いつ対局が行われたか
棋戦:      ← 対局がどのような場で行われたか
戦型:      ← どんな戦法を使ったか。定跡で名前が付いているものは、それを記す。
持ち時間:   ← 持ち時間は全部でどれくらいだったか。短いか長いかで、対局者の読める量や時間配分が変わる。
消費時間:  ← 持ち時間をどれくらい使ったか。あまり使わなかったということは、形勢に差があって分かりやすかったのだろう。
場所:      ← 対局が行われた場所。
手合割:    ← そのまま。平手、駒落ちなど。
先手:、後手: ← 先手、後手の対局者名・棋力などが書かれる。
コメント(注釈):←自分の読みや観戦記などを記録しておける。

 前回は、消費時間について考察しました。では、消費時間からどのようなことが読み取れるか、まとめてみましょう。

「消費時間が短い」

→「定跡手順である」
 →いわゆる「決まった」手なので、改めて考える必要がないわけです。プロ同士ではどんどん手を進めて行っても、アマには分からない手もあります。それは事前に持っている情報量の差といえるでしょう。

→「前からの読み筋だった」
 →一見思い通りの進行で良さそうにですが、読み筋と思って手拍子で悪手を指している可能性もあります。
 

→「相手に考える時間を与えない」
 →早指しなどで用いられる、いわゆる「時間攻め」です。しかし、プロ同士の対局ではあまりありません。プロは持ち時間を一杯まで使って、お互いの読みの深さで勝負することが多いです。

 →対局中に短気を起こして指したとも考えられます。こういう時は悪手の可能性が大いにあります。


「消時間が長い」

→「読み筋でなく長考した」
 →対局者が意表を突かれた瞬間です。定跡を外れた瞬間であったりもします。

→「自分の読みを確認していた」
 →これは、相手の手が自分の思惑通りだった時に、慎重を期して時間を使うという意味です。すなわち、その手の周辺が対局者にとって勝負所であると言えるでしょう。

 →他には、事前に研究していた内容を反芻している可能性もあります。

→「詰みを探していた」
 →最終盤で難解な局面の時、勝ちの順を探しています。形勢が傾いて優勢な時です。

→「その他」
 →「トイレに行っていた」:対局とは関係ないことに時間を使っていた場合です。
 →「将棋とは関係ないことを考えていた」:プロ棋士では全ての持ち時間を読みにあてているのではなく、「今日の晩飯は何かな」などと案外無駄なことを考えていたりします。

 以上で一通りの可能性を網羅してみましたが、他にもまだあるかもしれません。
その辺は読者の皆さんの裁量にお任せしましょう。


  では、今回は「開始日時」について考えてみましょう。

「開始日時」とは対局が行われた時間ですが、時間には幅があります。つまり、その一局を巡る時間軸と考えるべきです。

これについては、時間軸の幅の広さによって3つの見方があります。

  ①対局当日のスケジュールと調子(小さいスパンで見る)
  ②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)
  ③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)


 まず「①対局当日のスケジュール(小さいスパンで見る)」について。

たとえば、オンライン対局場である将棋倶楽部24(http:/www.shogidojo.com/)には、名前の通り1日24時間を通して、色々な棋力の方が対局されています。

しかし、個人それぞれにライフサイクルがあり、将棋を指せる時間と指せない時間があります。

では、そういった場で昼に将棋を指している人はどんな人なのか考えてみて下さい。

昼間は大抵のサラリーマンなら会社で勤務中だろうし、学生なら学校で授業中です(もちろん例外もあります)。なので、夜勤明けの人だったり、平日休みの人が余暇で指しているはずです。

夜はやはり人が多く、19~24時までは東京道場は満員で、サイトに登録していない人はなかなか入場できないのが現状です。

つまり、棋譜の指された時間からその人のライフサイクルが思い浮かべられるわけです。


 そして、人には調子の良し悪しがあります。それは一日の中でも波があります。

たとえば、夜遅くに指された将棋などは、対局者はその前に何局も指していて疲れていたり、惰性で指したりしているものです。

その日に負けが込んでいたらどうでしょうか?

自分の得意戦法で負けが込んでいたら、詳しくはないけどある程度形を知っている戦法を指して気分転換したりするでしょう。

あるいは調子よく勝っていても、人には飽きや勝ち逃げしたい思いがあるので、その日は得意戦法を封印する可能性もあります。

 このように対局者の頭の中を考えるだけで、戦法を採用する対局者の意図が読み取れたり、戦法の完成度や対局者の戦法に対する習熟度が読み取れるわけです。


  では次に「②その対局のための用意に費やした時間(中くらいのスパンで見る)」について考えてみましょう。

将棋を生業とするプロの世界では、対局をする日にちは決まっています。日本将棋連盟から事前に通達が来て、対局者・日時・場所を指定されて、その通りに将棋を指すわけです。

もちろん勝ちを目指すわけだから、その対局に向けて準備をします。自分の得意戦法の研究したり、新手の成否を研究会で試したり、対戦相手の棋風・得意な戦法・最近よく用いている戦法を調べたりと、1つの棋譜の水面下に様々な努力があります。

 では、たとえば対局のスケジュールが一杯に詰まっていて、短期間に何局もこなさないといけない状況にあったらどうでしょう?あるいは理事や普及などの仕事が忙しくて、将棋の研究の時間を十分に取れていなかったとしたら?

それだけで対局前に知識において優劣が付いているでしょう。すなわち盤外での優劣です。

現代は情報化社会でPCを使ってすぐに情報のやり取りができます。戦法の研究結果や将来性が、場所を問わずにすごい速さで伝達されていきます。

その速度について行くだけでも大変です。それを集めて自分で新しい結果を出すとしたら、大いに時間のかかる作業になります。これが情報の格差につながってきます。


 そして、対局者各位がその一局にかける意気込みによっても研究の深さが変わってくるでしょう。

プロといってもやはり人間なので、全ての対局に全力を傾けるのはなかなか難しい。だから、気合いの入れ方に強弱を付けることは十分ありうるでしょう。

早指し棋戦で指す一局と、順位戦の昇降級をかけた一局とは重みが全然違います。1つのタイトル戦においても何局目でどんな成績であるかによっても変わってきます。

 もちろん、我々一介のアマが、プロの細かなスケジュールや頭の中の全てを知るわけにはいきませんが、その対局が行われた背景を考えてみると棋譜に深みが出てくると言えるでしょう。


 以上のように、今回は「消費時間」について一局を巡る時間軸と、それに対する対局者の背景について考えてきました。

「③将棋の歴史全体からみた一局の意義(大きいスパンで見る)」は①、②とは少し違った見方であるといえます。

詳細は長くなりますので、次回お話しすることにしましょう。

2012年5月 6日 (日)

穴熊の先にあるもの

現代将棋は玉の固さを重視します。
居飛車穴熊や、横歩取り8五飛戦法における中原囲いに代表されるように、「囲いは金銀4枚、攻めは飛角桂」という新しい感覚が主流となっています。固めるだけ固めてドカンという将棋が多くなったんですね。

確かに玉が固いと勝ちやすいです。多少は無理が通るし、逆転にもつながりやすい。でもそれはあくまで現代の主流であって、10年後はどんな将棋が流行っているのかは分かりません。

しかし、玉を囲うなら盤面の関係上、穴熊以上に深く固く囲うのは不可能な気がします。もちろん最強の囲いは「入玉」ですが(笑)、それは最初から狙うものではなく、中終盤の兼ね合いによるものです。

となれば、穴熊の先にある将棋とは何なのか?答えは誰にも分からないかと思います。僕は玉のバランスや戦法選択の自由度だと思いますが、ただ具体的な形は分かりませんし、あっても糸のように細い精密な手順が必要になるんじゃないかと思います。

とまあ、僕の穴熊論はこのぐらいにして、最近自分が穴熊に潜った将棋を紹介します。この将棋はお互い定跡にない形から穴熊を目指しました。

穴熊は固めてドカンという豪快なイメージがあると思いますが、その豪快な捌き合いの後に優位を握るためには、駒がぶつかる前の駒の細かな位置取りが優劣に直結してきます。結局は駒を無駄使いしていては勝てないんですね、たとえ穴熊であっても。

振り飛車に対する居飛車穴熊や四間穴熊はかなり定跡が整備されていますが、このように力戦形で穴熊になったときは、的確な序盤感覚が必要になります。そのことを示すのに良い題材として本局を取り上げました。


2012年5月 3日 (木)

サイト紹介vol.1 「格言を勉強できるサイトのまとめ」

 「サイト紹介」というカテゴリを作りました。自分が将棋のHPを探訪した中で有用と思うサイトを紹介していこうと思います。
目指せ、将棋HPコンシェルジュ(^^)/ ちなみに、自分が情報発信するうえで他人の二番煎じにならないように情報収集する、という意図もあります。


 今回は第1回としまして、将棋の格言を紹介しているHPをまとめて掲載してみました。


 格言は先人が残した偉大な教えを端的にまとめた言葉です。
覚えておけば、対局中に指す手に困ったときや自信が持てなかったときの道標となってくれます。

 入門当初から全てを覚えるのは大変ですが、棋力が上がってくると「ああ、そういうことなんだなぁ」と思うことが多々あります。もちろん、局面によっては例外もあるわけで、そういう時は格言が先入観となって判断の邪魔になることもあるわけですが、まあそれはその場で臨機応変に判断しましょう。


 ここが一番量があって解説も充実しています。
http://www.shogitown.com/school/dictionary/maxim/maxim.html

 皆さん御用達のwikipedia。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%86%E6%A3%8B%E3%81%AE%E6%A0%BC%E8%A8%80

 ここはプロの残した言葉なども加えてあり、独自色の強いサイトです。
http://rocky-and-hopper.sakura.ne.jp/kakugen/kakugen001.htm

 学ぶ上で、量的には上の3つのサイトで十分事足りるかと。
他には以下のようなサイトがあります。

http://shodan-navi.com/tesuji/tesuji.htm

http://www.geocities.co.jp/playtown/6157/tesuji/tesuji_f.html

http://page.freett.com/kikoehureai/hetappi/kakugen/index.htm

http://www.asahi-net.or.jp/~va5t-sd/komatukai.htm



 色々ある格言の中から、自分が初心者の方に覚えておいてほしいと思う格言を下に10個まとめてみました。
意味は上記のサイトなどから調べてみて下さい。

1.王飛車接近すべからず

2.飛車先の歩交換三つの得あり

3.攻めは飛角銀桂守りは金銀三枚

4.桂の高跳び歩のえじき

5.歩のない将棋は負け将棋

6.三歩持ったら継ぎ歩とたれ歩

7.終盤は駒の損得より速度

8.不利な時は戦線拡大

9.二枚替えなら歩ともせよ

10.寄せは俗手で


 ちなみに余談ですが、格言という意味を表す言葉は英語にはいくつかありますが、私が一番しっくりのはaphorism[アフォリズム]とう単語。良いこと言ってるはずなのに「アホ」って響きが面白いですよね(笑)お笑い芸人で「バカリズム」さんというのがいますが、これは恐らくこの単語をモジったものなのかと。。

2012年4月27日 (金)

神の一手を求めて

 「最善の一手の追及・・何という喜びであろう」という言葉を言ったのは漫画『ヒカルの碁』の藤原佐為です。もちろんフィクションです。

 でもあの漫画は画も奇麗だし、話もよく練られていて名作だと思います。あれが囲碁じゃなくて将棋だったら良かったんですがねー(笑)

 まー、登場人物の誰が好きとかいうオタ話をし出すと脱線してしまうでしょうから、いずれ話すとしてここでは置いておきましょうww

 さて、先述した佐為の君は神の一手を極めるためにヒカル君に摂り憑いたのでした。しかしそれは、囲碁だけでなく将棋を指す人、またアマプロなど棋力を問わず誰にとっても同じ目標であると思います。

 将棋の指し手の場合の数は人知をはるかに超え、最先端のスーパーコンピュータでも計算し尽くせないほどです。

 しかし、人間は脳で無駄な手、つまり最善手からは程遠い手の読みを省略し、その局面局面において正しい手を読み、指すことで詰みというゴールを目指すわけです。

 「神の一手」とタイトルで謳いましたが、将棋は一手で決まるものではありません。「神の一手」というのが100点満点で100点の手であるとするならば、たとえ次の一手の問題で100点の手を指せても、一局を通してずっと100点の手を指し続けることは困難です。プロでも見落としや読み違いはあるのですから、将棋にあまり時間を割けない我々アマチュアには程遠い話であるように思います。

 しかし、勝つためには100点の手を指す必要はないと思います。だから、ある局面で一手だけ100点の手を指すより、一局を通して終始70~80点の手を指し続けることができた方に結果として勝ちが転がり込むのです。

 有段者になると、この70~80点の手の押収です。というか、良さそうな手が2,3見え、それについて更に読みを深めていき、その中から一手を見つけてそれを指すわけです。つまり、その瞬間に自分の頭の中ではその手が100点であるわけです。でも、それが間違っていたりするから将棋は難しい。

 逆に、分からない時、すなわち指し手に点数を付けられない時もあります。それは読み切れなくて自信がない、相手玉の詰みの形を描けない、など理由は様々です。でも指さなければ将棋は進まず、分らないまま指していればある程度形になっていくから将棋は難しい。

 さて、書いているうちに何を言いたいのか分からなくなってきましたww

 とりあえず、こういうことをふと考えた一局を御覧ください。

 相手の方の棋力は五段とありますが、レーティングでいうと当時2400。自分にとっては格上挑戦で金星を勝ち取ったわけですが、指している最中は終始自信がありませんでした。早指しで時間が短い将棋だったから、読み切れなかったというのもあります。きっと相手も同じ気持ちだったのでしょう。

 でも、この将棋は改めて並べ直しても勝った実感が持てません。本譜よりもっと良い手があるようにも見えるし、本譜で良かったようにも思える。

 持論として、自分が勝った将棋からは得るものが少ないと思います。勝局というのは、とりあえず自分を出し切って勝てたわけですから、自分が改めて考えても鉱脈の発見の可能性が少ないわけじゃないですか。なので自分で考える気にはならない。

 こういう時便利なのはコンピュータですよね(^^)/あーだこーだ文句垂れずにせっせと棋譜を解析してくれるから楽です。今ではフリーでも強いソフトがあるので、コンピュータを使った棋譜解析については、いずれ回を取って紹介しようと思います。

 何かあちらこちらに思索が飛んで、最初に書こうとしていたことが書き切れなかった気もします(笑)長い自慢話にお付き合い下さり、ありがとうございました。

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